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42.小さな従弟たちの相談

ผู้เขียน: 杵島 灯
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-05 20:41:37

 しかし、母フラヴィから話を聞いた子どもたちは全員が驚き、反発した。生まれる前から一緒だった三人にとって、誰か一人が遠くへ行くというのは絶対にありえないことだったのだ。

「だから三人は花の国へ行く前に内緒の相談をしました」

「内緒の相談? どんな?」

「ええと……」

 ライナーは少し気まずそうな表情になる。

「……花の国の王女様に嫌われるための相談です。フラヴィが誰かを花の国へ行かせたくても、当の花の国の王女様が『従弟は嫌い。花の国に来てほしくない』と言えば、フラヴィも諦めるはずだと考えたんです」

 一人目の子は「一切の愛想をなくそう」と決めた。

 二人目の子は「ひたすら元気でいよう」と決めた。

 いずれも花の国の王女に「|従弟《いとこ》は自分勝手で無礼だから大嫌い」と思わせるための作戦だった。

 ライナーから話を聞き、ジゼルは当時のことを思い出す。

 確かにライナーの言う通り、一日目の子はとても不愛想で、二日目の子はとても元気だった。

「ですが僕は、どうしたらいいか分からなくなったんです」

 成長した三人目の子は、あのときのことをそう振り返る。

 二人の兄と離れたくないと思っている。だけどこのままでは、せっかく自分たちに会いに来てくれた花の国の王女に対して申し訳ないばかりだ。

 どちらかしか選べないのは分かっているし、どちらを選ぶべきかも分かっているけれど、どうしたらいいか分からない。

 悩んだが打開策は見いだせないまま面会時間がきてしまった。それで三人目の子は仕方なく、当初の予定通り大人しくしていようと決めた。花の国の王女が静かな従弟に呆れて帰ってしまうのを待とうと思ったのだ。

 ――だが、その計画は花の国の王女と会った瞬間に崩れた。

「とても美しい王女様は先の二日で嫌な思いをしたはずなのに、僕に優しく声をかけてくださったんです。なんて素敵な方だろうと思って……後はもう計画なんて頭から抜け落ちてしまいました。僕はこれが、今でも正解だったと思っています」

 ジゼルの隣で語る青年は少年のような無邪気な瞳をしていた。あのときのことはジゼルにとっても楽しかった思い出として心に残っているので、同じ時間を共有できていたと知ってジゼルの胸はじんわりとあたたかくなる。

 通じ合った気持ちのまま互いに微笑みあったあと、ライナーは少し眉尻を下げた。

「代わりにシュテファンとブルー
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    「――我はこれよりそなたを息子と認めたりしない。どこへなりとも行って己の意のままに暮らせ。ただしその場合、帝国の地は二度と踏めぬと心得よ。己の血を裏切る代償が大きかったと嘆く日がこようとも、我はそなたを許すつもりはない。五歳のときからずっと『ジゼル様が、ジゼル様の』とうるさかったそなたはどうせ、父よりも、兄弟よりも、帝国よりも、花の国とその女王の方が好きなのであろう。父のことより『ジゼル様』の名を呼ぶ方が多い色ボケ息子ライナーなんか、いなくなったところで寂しくもなーんともないわい、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう――」「ブルーノ! その辺でいいでしょう!」「まだ先は長いんだけどなあ」 ジゼルを気にしながら真っ赤になって叫ぶライナーとは対照的に、ブルーノは涼しい顔だ。「『息子と認めたりはしない』とか言っておきながら『色ボケ息子』なんて言う辺り、息子と認めないのか、息子なのか。さっぱり分からないのが父上らしいね。……それにしてもこの先は文字が滲みまくってるなぁ。父上も書面の上で泣くことはないだろうに。そもそもそんなに悲しいなら、ライナーを皇宮へ閉じ込めておけば良かったんだ……」 ぼやくブルーノの声を聞きながらジゼルは繋いだままのライナーの手を引き、彼の耳元で囁く。「さっきから気になってたんだけど、皇宮って、帝国の皇帝が住んでおられる場所……よね?」「はい。そうです」「だとしたら父上っていうのは……まさかとは思うけれど、その……」「皇帝です」「……じゃあ……あなたは……いえ、あなたたちは……」 その先はうまく出てこなかったが、ライナーには伝わったようだ。彼は数度瞬き、小さく首を傾げる。「義姉様は僕たちの母から『竜の子』に関する話を聞いたのですよね?」「……お聞きしたといえば、したのだけれど……」 『竜の子』に関するジゼルの認識は『帝国の皇帝の庶子』だ。 帝国の皇帝は竜帝とも称される。そのため皇帝の戯れの相手となった女性が皇帝の子を産むと、その子たちは『竜の子』という隠語で呼ばれるのだろう、と。 ジゼルが読んだ花の国の記録には『フラヴィは帝国貴族の元へ行った』と書かれていた。 だからジゼルはフラヴィが嫁いだ先は帝国の貴族だと思った。そこで皇帝に見初められて子を宿し、誕生したライナーは『竜の子』となって、名目上の父である貴族から冷遇されて

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